概要

現在のスマートフォンが25年前のスーパーコンピューターに匹敵する計算能力を持っているのをご存じでしょうか?このような急速な情報化社会の発展を支える最先端の半導体素子や磁性素子の開発には、原子や分子の配置を精密に制御して固体の性質をデザインする「ナノテクノロジー」が重要な役割を果たしています。 そこでは新しい物理現象の発見や、新しい原理で動く素子の開発、さらに、それらを支える極限計測技術の開発や理論の構築などをめぐり、世界規模で競争が繰り広げられています。 同様に、サステナブルな世界を実現するための再利用可能エネルギー源となる太陽電池や、得られた電力を電圧変換し、電気自動車などで利用するための電力素子にも最先端の半導体・磁性体技術が使われています。

このような半導体素子や磁性体素子は今後も高度情報化社会を支え、エネルギー問題を解決する主役であり続けるでしょう。 本主専攻では固体物理や電子工学(トランジスタ、半導体レーザー、太陽電池、集積回路、磁気抵抗素子など)等のナノテクノロジーの基礎を学ぶことにより、幅広い視野を持って新しい電子素子を開発し、あるいはそれを支える計測手法や理論を開発・構築することのできる技術者、研究者を育成することを目標としています。

研究室紹介

研究室名教員名研究内容
環境半導体・磁性体教授 末益崇
教授 都甲薫
資源が豊富な元素で構成される新しい半導体、強磁性体を作製し、1 μm程度の厚さで非常に効率の高い太陽電池や、電子のスピンを利用する素子の実現を目指しています。
ナノ構造制御准教授 蓮沼隆集積回路やパワー半導体で用いられているシリコン窒化膜、シリコン酸化膜の絶縁特性や電荷捕獲特性を調べ、優れた絶縁膜を実現するため基礎研究を行っています。
電子スピン共鳴分光准教授 梅田享英パワー半導体やナノエレクトロニクス素子の欠陥個所を超高感度電子スピン共鳴分光を駆使して調べています。スピンを用いた”量子センシング”の研究にも取り組んでいます。
陽電子消滅教授 上殿明良
助教 Sellaiyan Selvakumar
電子の反物質である陽電子を用いた材料評価方法の開発と、これを用いたグリーン・バイオテクノロジー材料(金属、半導体、高分子、酸化物、生体材料等)の物性評価を行っています。
半導体材料教授 櫻井岳暁有機材料から無機化合物まで幅広い材料を取り扱い、太陽電池や光触媒、パワーエレクトロニクス向け半導体の物性評価を通じ、創エネルギー・省エネルギー素子の開発を行っています。
エネルギー材料・デバイス准教授 Islam M. Monirul光触媒やイオン電池などのエネルギー応用に向けた、薄膜半導体の成長と特性評価を行っています。
パワーエレクトロニクス教授 岩室憲幸
教授 矢野裕司
准教授 磯部高範
電気のエネルギーを無駄なく使うため、炭化ケイ素(SiC)等のワイドギャップ半導体材料による高性能パワー半導体の研究と、高効率な電力変換装置の研究を行っています。
超ワイドギャップ半導体准教授 奥村宏典高温・パワー・紫外発光素子や放射線検出器への応用を目指した、超ワイドギャップ(窒化物、酸化物)半導体の結晶成長と素子作製に関する研究を行っています。
磁性材用インフォマティクス教授 三俣千春磁性材料の磁気特性発現機構についてマテリアルズ・インフォマティクスを利用するための説明可能機械学習手法の研究。自由エネルギーを利用したデータ空間でのモデル構築と物理現象を接続する表現の開発。
半導体量子ナノ構造教授 大野裕三半導体量子ナノ構造の電子・光・スピン物性の解明、量子情報・低消費電力技術へ向けた半導体量子ナノ構造におけるスピンコヒーレンスの研究を行っています。
磁気機能工学教授 柳原英人
助教 Sonia Sharmin
金属や酸化物のナノ構造体(薄膜、ナノ粒子)を用いた新しい磁性・電子材料の開発を行っています。エネルギー消費の少ない磁気エレクトロニクスの基礎物性研究にも着手しています。
極限計測・ナノテクノロジー准教授 武内修
准教授 吉田昭二
助教 嵐田雄介
助教 茂木裕幸
ナノスケールの極微な世界をフェムト秒の超高速現象まで含めて観測する新しい顕微鏡を開発し、新物質の創成や新奇機能材料開発のための研究を行っています。
化合物半導体講師 大井川治宏無機有機に拘わらず、金属・半導体・絶縁体等の広範な電子材料に関する、表面界面およびバルクの構造物性解明と新/多機能電子・量子素子への応用を行っています。