新しい考え方に基づいた応用理工学類の役割は、自然界から人間に役立つ物質や現象をみつけだし、それを役立つ形にまで仕上げることです。もう少し詳しく言うと、自然に存在する物質に手を加えて人工物質(高分子、半導体、合金など)を作り、新しく役立つ性質を作り出します。その性質を利用可能な「素子」として、基本的な機能を利用できるように完成させます。
また、自然には様々な物理現象や化学現象があります。これらを人間のために役立つ、計測技術等に導くのも役割の一つです。
応用理工学類は上記の様な役割を果たすために、4つの分野=「主専攻」
| 応用物理主専攻、 |
| 電子・量子工学主専攻、 |
| 物性工学主専攻、 |
| 物質・分子工学主専攻 |
を設けています。
[ナノテクノロジーと応用理工学類]
今までの説明で分かるように、応用理工学類では原子や分子のレベルから物質や現象を扱います。このため最近話題になっているナノメーターサイズの技術「ナノテクノロジー」は当たり前のことになっています。ほとんどすべての研究がナノテクと関係していると言っても間違いではありません。このような小さなサイズでは、素子やマテリアルそのものがシステムと直結する技術分野が新しく必要となり、研究が盛んです。
[社会の要求と応用理工学類]
現在社会で必要とされている具体的な技術(工学への注文)は、高齢化社会の到来に対する対策、エネルギー問題などです。これらの問題を解決するのに応用理工学類は直接的には関係していないように見えます。しかし、マテリアルや素子の発展は、燃料電池や太陽電池の開発などを通じてエネルギー問題の解決のために大きく貢献しています。物理現象の医療分野への応用も得意分野の一つです。磁気共鳴映像法(MRI)や粒子線による治療などは直接、医療に貢献しています。
[将来の工業を支える応用理工学類]
現在、利用されている材料、現象の研究を続けても、技術開発の種はつきてしまいます。豊かな社会を将来、維持発展させることを考えるならば、10年、20年後の工業の基礎となる素子やマテリアルの研究を始める必要もあります。応用理工学類では、自然科学の中からこのような将来性のある現象や物質について学び、研究の対象とします。「超伝導」「プラズマ物理」「生物機能」など、未来の工学の基礎となる事がらの種をまき、育てています。