加圧により水を取り出せる材料を開発 所教授ら
地球規模で深刻化する水資源問題は、特に乾燥地域や内陸地域において人々の生活に大きな影響を及ぼしています。海水淡水化や浄水技術は広く普及していますが、これらは主に沿岸部で利用されるものであり、内陸部や水資源の限られた地域では十分な対応が難しいのが現状です。このような背景から、現地で簡便に水を得ることができる「オンサイト水生産技術」の開発が求められています。
本研究では、銅―クロム・プルシアンブルー類似体(CuCr PBA)に圧力を加えると、結晶内部に保持されていた水が排出される新しい現象を見いだしました。従来、物質の内部から水を取り出すためには、温度や湿度の制御を必要とする手法が一般的でしたが、本材料は、圧力という単純な物理的刺激のみで水を排出させることが可能です。
本研究成果は、結晶構造内の細孔に保持された水分子を、圧力刺激によって取り出すという新たな現象とそのメカニズムを初めて示しました。この成果は、乾燥地帯など厳しい環境下でのオンサイト水生産技術に向けた新しいアプローチであるとともに、圧力を利用した機能性材料の開発にも新たな指針を与えると期待されます。